【【リセット】】
目が覚めると、そこは分娩室だった。


生まれたばかりで目も耳も使い物にならない私は、眩しいだけの薄ぼんやりとした世界で誰かの泣き叫ぶ声を聞いた。


泣き声は目の前にいる誰か―おそらく母親だろう―から発せられているようだった。


くしゃくしゃに歪んだ顔で泣き叫ぶそのぼんやりした顔に、なぜか3番目の母親の顔が重なって見えた。


―ねえ、お母さん。


 どうして泣いているの?


 私、生まれて来たんだよ?


 真っ白で新しい世界。


 今度こそ素敵な人生を送るの。


 残された時間は少ないけれど、でも私は・・・


ふと、1度目の人生で私が生んだ子供の顔が浮かんだ。


ああ・・・


あの子は今頃どうしているのだろう?


きっと子供を産んで、今頃きっと生まれたての私より皺だらけで。


ああ、どうか幸せでありますように。
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