【【リセット】】
5度目の人生を迎えた日。


空は薄暗く、轟音を轟かせていた。


雷鳴かと思ったその轟音は、しかし自然現象などではなかった。


世界は暗黒に満ちていた。


そんな暗黒の世界に私は産み落とされ、親を知らず、安らぎを知らず、それでも生きていった。


最悪な人生だった。


世界は長引く戦争で混沌に満ち、子供たちの目からは光が失われていた。


そして私の瞳からも、光は蝶のリンプンのように舞い散り、スモッグで覆われた世界に零れおちて行くのだった。


こんなはずじゃなかった。


私は何十回、いや、何百回と口にした呪文を唱えた。


親を失い彷徨う子供、子供を失い地に伏して泣き叫ぶ母親。


私は、


私は今度こそ幸せになるはずだったのに。


ああ今頃、


唯一私が生んだ子供は、どこでどうしているのだろう?


簡単に人が生まれては命を落とすこの世界で、あの子はまだ生きているのだろうか?
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