アイツは私の初彼氏
「かつゆ…き?」
顎をグイッと持ち上げられ、克幸の顔が近付いた。
「さお」
ゆっくりと唇が触れる。
その柔らかさが温かさとともにじわりと伝わった。
唇って男でも柔らかいんだな、そんな風に感じた。
そのまましばらくの時間が流れて、克幸がゆっくり離れた。
ゲームの画面はいつの間にかストップをかけてある。
そんな抜け目ないのは克幸しかいない。
温かさが離れて、私の心臓が早く大きく動いている事に気がついた。
「これならどうだ」
「へっ?」
「やっぱりイヤだったか?」
克幸の真っ直ぐな目が私に向いている。
私は直視出来なくてやっぱりそらしてしまう。
けれど、私は……。
「イヤだとは、思わなかったけど」
不思議と、昨日のも今のもイヤだという気持ちはなかった。
ただ、驚いただけで。