アイツは私の初彼氏


昔を思うと懐かしくなる。
男も女も関係なくて、ただ走り回っていたあの時が。

あの頃の自分には、今みたいに悩む日なんて想像つかないだろうな。



「ねぇ」

しお姉が私に向かって声をかける。

私はコーヒーを飲みながら姉を見た。

「かっちゃん、アンタが婿にもらっちゃいなさいよ」

「ぶっ!げほっ」

私は思わず吹き出しそうになり、むせた。

いつもながらいきなり過ぎるし!

「一体……何言い出すんだよ、しお姉!」

「だってあの子もう弟みたいなんだもの。こうなったらウチの子になっちゃえばいいじゃない」

「あのな……!」

私は反論しようとしたけど、気管に入ったコーヒーが邪魔をする。

「しお姉、それはおかしいって」

そこに、サラダを食べていたかお姉が口を挟む。

私はかお姉の言葉に涙目で何度も頷く。

ところが、



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