CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
その後は、物音もなく、安心して物体移動のトレーニングをした。
力のコントロールって言うのが、最初は難しかったので、ミュートのイメージを変えてみた。
ギターの弦は6本ある。
ギターを抱えて、ネックの下側から上に行くに連れて、弦は太くなるのは、皆さん知っていますね。
太い弦から
E→ミ
A→ラ
D→レ
G→ソ
B→シ
E→ミ
の順に並んでいる。
俺は、細い弦から5本にミュートを掛けて(高い音から5本)、一番低い音を出すE弦1本のみを開放するイメージで特訓してみた。
すると、不思議なもので力は少しずつコントロールしやすくなり、馴れてくると1本から2本に、2本から3本4本と順番に開放していった。
全ての力を開放しても、もう力が暴走する事は無かった。
最終的には、大きな冷蔵庫まで空に浮かしたり、それをそのまま空中移動さすことも可能になり、意識を集中さすことで、動かしたい物を自由に動かせるようになっていた。
ベッドに寝っ転がったまんま、自分の体ごとベッドを持ち上げ、空中移動出来た時には、かなり感激して仕舞った。
しかし、自分自身のみを空中移動さすことは出来ないみたいだ。
サイコメトリーの力も、残留思念とかが強い物には可能だが、そうじゃ無ければ触っても何も見えない事も分かった。
力を使い過ぎると、体が酷く疲れるって言うのも分かった。
汗をかいた俺は、部屋の奥に在るバスルームへ行き、シャワーを浴びた。
バスタオルで体を拭きながら、着替えを取ろうとクローゼットを開けた瞬間
ウソ~~~!
なんで!?
一体どうゆう事なんだ!?
俺は、慌ててベッド横のベルを連打した。
『チャンス、どうした!?
何が有ったんだ!?』
アボジ(親父)が慌てて降りてきて、地下室のドアを叩いた。
「今、力をOFFにしていますから、中に入って来て下さい。」
『分かった。』
ガチャガチャと、鍵を開ける音が聞こえて、直ぐにアボジが中に入って来た。
「これを見てください。」
と言って、俺はクローゼットの方を指差した。
『一体、クローゼットの中に何が有るんだい!?』
私は、チャンスが指差しているクローゼットに近づき、中を覗いた。
別に変わった事は何も無かった。