CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
 



『怪我は、無いんだな!?

って言うか、物体移動が出来るのか!?』


「ハイ。

巧くコントロールは出来ませんが、間違いなく動きます。」


『そうか。

雑音は消えたか!?』


「ハイ。

それは、朝には落ち着きました。」


『早いな!

俺は、1週間あの雑音に悩まされたって言うのに。』


「あの音が1週間もですか!?

大変だったんですね。

今は、物体移動の練習をやってますから、何かあればベルを鳴らしますから。」


『あぁ!

くれぐれも気を付けて遣るんだぞ!』


「分かりました。」


『明日は、ビジョンの練習を遣るから、それまでに、ある程度力をコントロール出来るようになっておいて欲しい。』


「とにかく、頑張ってみます。」


『じゃあな!』


と言って、アボジは上に上がって行った。


相変わらずインターフォン越しで会話をするのは慣れないなぁ!


でも、一度に沢山のビジョンを見てしまうと、また頭痛が始まるって言ってたもんな!


巧くミュート出来ても、開放したら回りにいる人全てのビジョンが流れ込んで来たら、大変な事になるって言ってたし。


見たいビジョンだけを見れる様になるまでは、外に出られそうもないな!


あぁあ…!


退屈だし!


ギター弾きたいけど、日本に置いてきたし……。


何時までも地下室に居たら、発狂してしまうかも……。


あぁあ! ギター


弾きた~~い!


ゴトッ!



あれ!?


今、どっかで物音がしたぞ!


やめてくれよ~!


まさか、この地下室って…ネズミでるのかよ~!


俺は、ジ~ッと耳を澄ませていたが、それ以降は何も物音はしない。


気のせいだと、ホッと胸を撫で下ろした。


部屋の隅に作られている小さな台所に行き、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルの水をグラスに注ぎ、一気に飲み干した。


実は、俺は大のネズミ嫌いなんだ。


小さい頃から、例え幽霊や爬虫類と言った、皆から忌み嫌われるものでさえ平気だったが、ネズミだけはどうしょうもなく好きに慣れなかった。


まぁ、ネズミを好きな人なんて、そうそう居ないのだが、モルモットやハムスターさえ、可愛いとは思えなかった。


だから、部屋の隅で物音がすると、


まさかネズミ!?


って思って仕舞うんだよなぁ…!






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