恋心 ~Opposite Nature~



それ以来、俺は真剣にバスケをやってない。クラスマッチでも、そんなに力は入れてない。


「昨日の保健室でのあいつ、中学の時の先輩なんだ。試合には出てねえけど、俺の事知ってるんだよ。昔の俺を」


何も喋らない山中の顔を覗き込んでみると、…なぜか泣いていた。


「何泣いてんだよ、お前が」

「…ごめん。山地くん…」

「ん…?」

「山地くんが言ってる先輩…多分、この学校でマネージャーしてる」


今、…何て?


「…その先輩、田崎先輩なんじゃ…」


約二年ぶりに聞いた…名前だ。


「…違う。そんな奴知らねえ…」

「田崎先輩ね、言ってたよ!!」

「聞きたくね…頼むから、喋るな…」


「"山地、何でバスケ部に入らねえんだよ。妃路さ、あいつに伝えといて。早く…戻ってこいよってさ"って…」


「っ……」


ふっと、田崎先輩の顔が浮かんできた。あの大胆で、でも滑らかなシュートを決めた後の先輩の表情が…。


その先輩の顔を思い出すと、いつも呼吸が苦しくなる。…だから、闇に葬っていたのに。


「山地…くん…?」

「見、るな…。むこう、向けよ…っ」






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