Thus, again <短>



必死になって僕の心に縋りつこうとする、弱さだけを瞳に浮かべたあの子に

僕はあの別れの日、どう返事をしたのか、正直よく覚えてはいない。



何かを伝えたような気もするし、何も取り繕えずに突き放したような気もする。


だけど、多分、僕はそんな少女に背を向ける前、微笑んでみせたように思う。



僕はあの時、確かに少女の幸せを願っていた。


そしてまた、いつか僕自身の手で幸せにするという決意も秘めていた。



だけど、そんな幼稚な決意も、月日に風化されてしまい、

きっと、叶うことはないのだろうと、随分無責任な未来も見据えていた。



それでも、もっと奥深くの本音のところでは、

少女はいつまでも変わらず、自分だけを待っていてくれている……


驕りと形容してもいいような、微かな自信も、

あの時の僕の中には潜んでいたということを、僕は最近になって気付いた。



だからこそ、今この時、僕はこの道を歩いているのだ。

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