輝く季節へ
SEASON・5 懺悔

青信号


三ヶ月前。
三学期が始まってすぐのことだった。


登校中、ジングにあった。

バスを降りて学校に向かう途中の交差点、
赤信号になった時、偶然横に並んだ。

二年ぶりの再会に、心臓が跳ね上がった。
今まで会おうとしなかったことを、
なぜかその時後悔していた。

自分が一番輝いていたのは、
ジングを好きだった頃だとさえ
思っていたから。

彼は前だけを見ていて、
こちらに視線を移すことはない。



 ― そして、


 ― 信号が青に変わった。




 そ知らぬ顔。
ただの通りすがり。
会うのは最初で最後かもしれない人。


 「はじめましてでさようなら。」


 そんなことは日常茶飯事。
世界中で当たり前のように行われている。
歩道を渡れば、学校までもうすぐだ。
よし、行くか。



 ― それがジングの気持ちなんだから。
 


分かってる。
もう戻らないことを確信してる。
ただまだ少し、動揺してるから。
記憶が蘇ってくるけど・・・
もう大丈夫。



 そういえば、関谷君はどうしてるかなぁ?
 中一のとき以来、話したことなかったよね。

 そうそう、直樹君にも会いたいな~。
同じ中学にいてもクラス違ったし、
ほとんど見かける機会もなかったよね。

そういえばカズ君とかいたよね。
すっごく懐かしい。
中学の時一度も顔見なかったから、
おそらく私立の中学に行ったんだろうな。




 ― 全部、

     ぜんぶ、

         ゼエンブ、


            連なる記憶。



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