よゐしこのゆめ。
何となく、ふと思い出した。


小さい頃、ママとパパの部屋に忍び込んだ時のこと……。



何故だか当時、ものすごくオシャレに憧れてたわたしは

学校から帰ると、いつもママの大きなドレッサーの前に座ったの。



そして、ドキドキしながら、引き出しを開けた。



右の上は指輪。

その下はネックレス。

左の上は髪飾り。

その下はブローチ。

真ん中は化粧品。



いつ見ても、何度見ても、キラキラとした引き出し。


わたしはいつも、すごく幸せな気分になった。



だけど、右の下。

ここだけはつまらない。



よくわからない液体のボトルがたくさん並んだその引き出しは

キラキラというよりは、寂しい感じがしたから。




だけどあの日、

何となくそこを開けたくなったあの日、



わたしはその奥に、手紙を見つけた。


それはたぶん、見てはいけないモノ。




ママの名前は望[ノゾミ]。

パパの名前は努[ツトム]。

ウチの苗字は間[ハザマ]。




点々と残る無数の水は、薄紫の便箋と一緒に

そこに詰まる想いを固めてるみたいだった。







“フジ”という、謎の男性への想いを……――――
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