よゐしこのゆめ。
少し遅れたけど、“いつも”のウチらしい夕御飯が始まる。



結婚もしてる。

高校生の娘もいる。

こんなに立派な家だって持ってる。



そんな大人な2人でも、こんなにも小さなことで、子どもみたいな喧嘩をしちゃうことがあるんだ。



喧嘩なんて頻繁にされちゃうと困るけど……



でももしかしたら、こうやって若い頃のキラキラした気持ちを思い出すことが大切なのかな?



大人の現実ってきっと、物事が規則正しく、在り来たりに並びすぎてる。


だから、そこに慣れすぎちゃった時に、若い頃の……少し無鉄砲な自分を思い出すことが

次の日からまた、メリハリのある毎日を過ごすことにつながるんじゃないかな?



まだまだ子どもなわたしには、よくわからないけど……――――



ドレッサーの引き出しに隠してある藤色のラブレターも

きっとそのためにあるんだよね?



だからわたしも、今はそんなキラキラした思い出を、たくさん溜めていきたい。



何となく……

2人の幸せそうな顔を見ながら、そう思った。






その日は、何か幸せな夢を見た気がする。



でも、次の日の朝にはその内容を思い出すことなんて、当り前のことみたいにできなかった。



あの時のパパとママの夢は、本当に特別だったんだ……――――



そう思うと、自然に頬が緩んだ。



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