AL†CE!


頭、冷やしてくる。


そう言って功は教室をでた。

教室には、
大地と佐柚の2人になった。


机はめちゃめちゃに乱れている。

佐柚は立ち上がり、
何も言わず机を直し始めた。


大地は力なく座っている。
口元から出血していた。


「情けねぇな。女に助けられてさ」

大地が自嘲して笑った。

佐柚はううん、と小さく言う。

「単純に、悔しかったんだよ」

佐柚は手を止めた。


「俺には何も言わないのに、功には弱いとこ見せて…。すげぇ腹立った」

佐柚は、乱れたままの椅子に座った。


「言っちゃまずいこと言っちゃった。1番のタブーに俺がふれた。まじ、みっともない」


「『あやか』さん?」
佐柚が聞く。

「あぁ」
大地は息と共に吐き出すように言った。

「功さんの彼女?」

「…今はちがう」

「元カノ?」

「んー…、それもちがうな」

「え?」
佐柚が拍子抜けした声を出す。

「俺たちが1年のときの3年で、野球部のマネージャーだったんだ。結構早い段階で付き合い始めて、ずっと…」

「年上なんだ」

「でも冬に絢華さん事故ってさ」


佐柚は息を吸った。

功のそういう話を聞くのは
初めてだった。


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