AL†CE!

「選手権の、試合の直前に、元彼の車に乗って、元彼ごと怪我して、重傷。あいつ飛び出してってさ。選手権負けたあと、3年とももめたし、いろいろ大変だったんだ」


功の意外な、
重い過去。


佐柚は声が出せなかった。


「絢華さんは生きてるよ。でも、怪我が治るまでは功には会わないって言われてるらしくて。あれでもあいつ、告られたりすんだけどさ、断ってんのは絢華さんがいるから」


「そうだったんだ…」


「いいよ俺の話は」


顔面が水でびしょぬれのまま、功がトイレから帰ってきた。


「有末に、話きかなきゃなんないんだから」

そう言って、いつもの子犬の笑顔で笑った。


大地は立ち上がる。

功に向き合って頭を下げた。

「ごめん…!」



功はその肩に手をおき、
「俺の2勝目!」

と言って笑った。



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