AL†CE!
「危ないですよ!?」
無意識に、口をついてでたのはそれだった。
下手な言葉をかけて、衝動で飛び降りられちゃ困る。
有末さんは、ゆっくり振り向いた。
無表情__
…思わず見とれてしまった。
「あたし死ぬんだ。空に1番近い場所で、死んじゃうんだ」
有末さんの髪が、さらさら風になびいた。
その言葉に、俺は驚かなかった。
いや、驚いたけど、わかってることを確認されたような気分だった。
有末さんが、こっち側に飛び降りる。
空を見上げた。
「あそこに宗介がいるの」
“宗介”が誰なのかわからない。
とても悲しい、澄んだ小さな声だった。
力なくたたずむ目の前のひとは、綺麗だった。
白くて細い手脚が、すらりと制服からのびている。
捕まえないと、消えてしまうような気がした。