AL†CE!

有末佐柚だった。


「こんにちは」
佐柚は笑顔で言った。

「今日はバイトないの?」
功が笑顔で返した。

自然と3人は歩き出す。
真ん中が佐柚だった。

「ないからいるんですよ」
功はすいません、と頭を前に倒した。

「こんな時間まで何やってたの?」
今度は大地だ。

「んー…寝てたら、紗和に置いてかれたから、ベランダから練習みてたんです」
「え、何それ起こしてくれなかったの友達?」
「紗和だから」
よくわからない返答で、大地はひるんだ。

功が笑い出す。
「なにあんた」

佐柚が頭を動かすたびに髪が揺れ、かすかに花の香りがする。

大地はこの匂いを、駅で佐柚を止めたときにも嗅いでいた。

「ジャスミン…」

声に出したつもりではなかったのだが、大地は1人静かにそう言ってしまった。

功が、は?と笑いをこらえて顔をゆがめる。

佐柚は思いっきりふきだした。
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