AL†CE!

______

「大地!」

3Iの教室の前のドアから現れたのは、栗色のショートカットだった。

大地はため息をついて立ち上がる。

功が、ししし、と笑った。
「残念だったな」

「どういう意味だよ…」
大地はやるせない声をだし、功をにらんだ。


「由梨子どうした、わざわざ」

「昼休み暇だからちょっと来ただけ!」

「ほう」
大地は適当な返事をした。

「ねぇ映画いかない?観たいのあるんだ」
由梨子は目を輝かせた。
ニッコリ笑ったその笑顔は、可愛いなぁと思う。

「クラスの女子に行ってもらえよ。俺部活休めねぇもん」

由梨子の笑顔がくもった。
大地はやるせなかった。
由梨子は彼女ではなくただの友達だ。
それに映画に一緒に行くほど暇ではないのは事実だ。

「えー1日くらいいいじゃん」

由梨子は口をとがらせて大地の腕をひっぱる。

勢いで思わずバランスを崩し、大地はつんのめった。

ドンッ

何かにぶつかった。

< 73 / 159 >

この作品をシェア

pagetop