AL†CE!
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「大地!」
3Iの教室の前のドアから現れたのは、栗色のショートカットだった。
大地はため息をついて立ち上がる。
功が、ししし、と笑った。
「残念だったな」
「どういう意味だよ…」
大地はやるせない声をだし、功をにらんだ。
「由梨子どうした、わざわざ」
「昼休み暇だからちょっと来ただけ!」
「ほう」
大地は適当な返事をした。
「ねぇ映画いかない?観たいのあるんだ」
由梨子は目を輝かせた。
ニッコリ笑ったその笑顔は、可愛いなぁと思う。
「クラスの女子に行ってもらえよ。俺部活休めねぇもん」
由梨子の笑顔がくもった。
大地はやるせなかった。
由梨子は彼女ではなくただの友達だ。
それに映画に一緒に行くほど暇ではないのは事実だ。
「えー1日くらいいいじゃん」
由梨子は口をとがらせて大地の腕をひっぱる。
勢いで思わずバランスを崩し、大地はつんのめった。
ドンッ
何かにぶつかった。