年下王子は意地悪王子





化学教師のこの人は、そのルックスから圧倒的な女生徒の支持を受けている。



スラリと長い手足。


シャープな顔立ちに、サラサラな黒髪。


そして爽やかな笑顔。




確かにあんまり恋愛に興味がないあたしだってカッコイイと思う。




だけど。


異性として見たことはない。



だってこの人は―…




「…なんて。先公らしく言ってみたけど。琴音って昔から怖いのとか苦手だもんな。平気か?」




あたしの母方のいとこだから。


小さな頃から、一人っ子のあたしをまるで自分の妹のように可愛がってくれた。


そんな颯ちゃんを、あたしも兄のように慕っている。
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