卒 業
「何が?」

彼が反応する。
私はグラスを傾けながら、話す。

「ウチらの関係ってさ」
「…まぁ、不思議ってば不思議かもな」
「…クスクス」

自然と笑いが込み上げた。

「何だよ?」
「なんでもなぁいよっ」

私の箸が、唐揚げに伸びる。
それを目で追う彼。
唐揚げは、私の口の中に入る。

ぅん……旨い。
 
「そういえば、卒業式の予行で泣いた人いたよね」
「琉だって泣きそうになったんしょ?」

話を掘り返すのがうまい彼。
「泣きそうになっただけだもん」

拗ねる私。
彼はそんな私を見て、笑った。




 
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