卒 業
「……そっ…か。あれ?一人暮らし?」

「まぁな。いつまでも親元に居たくなかったしな。出てみたかったってのもある」
 
ずっと親元で暮らすのだと思っていたので、正直意外だった。
辺りを見回すと、昔、実家で暮らしていた頃の部屋の面影はなく、それは、確実に月日が経っていることを、嫌でも私に分からせる。
 
「へぇ……」
「それより、今日どうする?送って行くか?」

そう尋ねられて、私は時計を見た。
時計の針は、午前0時近くを指していた。
今、運転させるのは危ない気がする。
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