卒 業
「……苦……」
口の中が甘ったるかったせいか、ブラックコーヒーが、いつも以上に苦く感じた。
ん?
そう言えば、何故口の中が甘いんだ?
「……ははっ」
思わず笑いが零れた。
してやられたって感じか。
忘れようとしても、忘れられないじゃないか。
彼女が残して行ったのは、
苦いコーヒーと、
甘いキス。
その甘さを感じる度に、彼女を思い出す。
自分が孤独だと感じた時には、そっとアルバムに触れている。
何だかんだで、俺は彼女に支えられていた。
そう思いしらされる。