卒 業
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同時刻。
喫煙室にて、タバコを吸って来た帰りの俺は、廊下で泣いている少年を見つけた。
見た目からいくと、4歳くらいの男の子だった。
俺は、そっと少年に近付く。
「どうしたんだい?」
そっと話しかけてみる。
泣きじゃくる少年は、しゃっくりをしながら、涙でぐしゃぐしゃな顔をあげた。
「ママが…いなくて…ひっく…」
「そうか…はぐれたんだね?おじさんが、一緒に探してあげよう。お母さんの名前は?」
頭を優しく撫でてやると、少年の涙はだいぶ止まっていた。