薔薇部屋
そんなある日のことだった
ユミがユウジの前から姿を消した…―花屋もずっと閉まっていて、ユミの母親と父親の姿も見えない

「…―ユミ、どこなんだ、ユミ」

どこを探せば良いのか分からない…ユウジはユミを愛しすぎていた。だから心が通じていたと思っていたから、連絡手段など考えたこともなかった…―分からない、ユミが一体どこにいるのか

分からない

「ユミ!…ユミ!」

突然の雨、自分の声だけが煩くこだまする…―それをじっと見ていたのは、ユウジの父親であった
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