私の貰ったもの



さっきまで女の子と手話で話していた男の子が、


すぐ側に寄ってきた。




「あのときの子だよね?」



彼は人懐っこい笑顔を見せて、私に言う。



私はコクリとうなづいた。



「…。もしかして、耳聞こえない?」


私は首を振る。



「え、じゃあ―…」


『声が出ない』



まだ綺麗な黒板に
私はそれだけ書いた。


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