遺伝子【短編】

「となり、どうしたの?」


あくまでもさり気なく聞いてみた。


「あら、起きたのね。おはよう」


そう言うと、窓の外を見た母親は心配そうな顔で


「なんか、事件みたいなのよ。怖いわ」


そう言った。
まぁ、その犯人は俺だけどね。


一応、心配した顔をしてから

「大丈夫、僕がお母さんを守るから」

と笑顔で言っておいた。

お母さんも、嬉しそうに笑顔で俺の頭を撫でたんだ。


ちなみに、俺の笑顔はよく人から

【天使の笑顔】

と言われるんだ。
多分、童顔だからだろう。

最近は俺も自覚して、故意に使っている。

なかなか効果的で、良いアイテムだ。


その時


――――ピンポーン


玄関のチャイムが鳴った。

< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop