遺伝子【短編】

お母さんが玄関を開けると、2人の聞き慣れない男の声がした。

ドアの影から覗き込むと


「警察の者です」


と、若い方の男がまるでドラマでやるように警察手帳を見せてきていた。

不安そうな面もちのお母さんに、年を取った方の男が

「すみません、隣の家での件でひとつお尋ねしたいのですが……」

そう言って穏やかに話し始めた。



バレたか?!



一瞬ドキッとしたものの、いや完璧だったと思い直した。

ましてや、今のマヌケな警察官共に捕まる気がしなかった。


「そういえば、一輝君は御在宅ですか?」


そう聞かれたお母さんは


「かずき――」


と、俺を呼んだ。

俺は仕方無く玄関まで行き、お母さんに


「どうしたの?」


と、笑顔で聞いた。


そう【天使の笑顔】で……


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