二人のおうち
 

二人は一日中部屋の中で過ごすと、明日は買い物に行くからと早めに就寝することにした。
 

昼食のあと昨夜のことを思い出した洋太が沙帆の布団を洗った。
沙帆はこれで今夜はドキドキせず済む、と一人安心していた。
 

 
「今日は気絶しなかったな」
 

 
風呂から出てきた沙帆に洋太が言った。
 

 
「まっ、毎日洋ちゃんに裸見られるなんて堪ったもんじゃないです!」
 

「えー、でも俺の脳裏にはもう沙帆ちゃんの悩ましい体が」
 

「変態っ!」
 

 
沙帆はばたんと音を立てて部屋に隠れてしまった。
洋太は困ったように笑って部屋に行き、ベッドへと入った。
 

 
「ふう」
 

 
沙帆は溜め息をついた。
呆れた溜め息ではなく、充実した気持ちから出た溜め息だった。
 

洋ちゃんと居ることが楽しい。
相変わらず変態な発言が多いけど、明日のお買い物も楽しみだな……。
 

うつらうつらとする頭でぼんやり考えると、沙帆は眠りについた。
 

 
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