二人のおうち
見れば見るほど沙帆の目の前にいるこの洋太という男は、綺麗な顔をしていた。
髪が茶色でふわふわだ、と沙帆は思いながら洋太を見つめたものだ。
「えっと、ごめんな?沙帆」
「っ」
沙帆は顔が熱くなるのを感じた。目の前にいる洋太がこちらを見てほほ笑んでいるのだ。
大人の魅力だ、沙帆はふとそう思った。
「あの、洋太さんの荷物は」
「ああ、まだ届いていないみたいだな」
ああ、この麦茶はそういえば自分が買い置きした物かと沙帆は思い直した。
「それじゃあ一緒に暮らすわけだけど、ある程度の約束は作ろうね」
「約束……」
不思議そうな顔をして沙帆は洋太を見る。
そんな沙帆に洋太は少しだけ笑いかけて、また再び話し始めた。
「同棲、というよりはルームシェアだよな。まずはお互いのことには干渉し過ぎないことだ」
「干渉?」
うん、と洋太が頷く。
干渉という言葉がいまいちぴんとこない沙帆は首をかしげた。