神の使者
と、二人の元に零が静かに近付く。
「時間だ」
すると女に刺さったままの羽がまた光りだした。
「そろそろ神様の所へ行かないと」
「嫌!」
娘は女の体を強く掴む。
「行かないでお母さん!ずっと傍にいてよ!」
「心配しないで優香。お母さんはずっと優香を見守っているから…。優香が幸せになる姿を」
「お母さん…」
「さようなら、優香」
女は最後に一度だけ娘の頭を撫で、そして光の粒となって消えた。
「お母さん…」
残された娘は母親の温もりを確認するように自分の体を抱きしめる。
「……」
達也がじっと娘を見ていると、タバコの匂いが近付いて来る。
「行くぞ」
「ああ…」
そして達也と零は娘を残してその場をあとにした。
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