神の使者
「ごめんね。お母さんには借金があって、そのせいで優香まで苦しい思いをさせたくなかったの」
「そんなの…お母さんと一緒なら平気だよ!」
「優香…」
女の目から新たな涙が零れ落ちる。
娘に申し訳ない気持ちしかなかった女にとって、その娘の言葉でずいぶん救われただろう。
ずっと泣いていた娘が初めて笑顔を見せ、
「でも良かった。お母さん朝から夜までずっと働いていて、すごくしんどそうだったから、私の事嫌いになったのかと思ってた。でも違うんだね」
「当たり前よ。お母さんは優香の事が世界で一番大好きよ」
「お母さん」
二人はまた強く抱き合った。
やっぱり親と娘は世界にたった一人しかいないのだから、こんなにも親子の絆は強くなる。
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