神の使者
しばらく二人のキャッチボールが続き、その間零はどうしてるかと言うと、野原に寝転び呑気にタバコを吸っていた。達也も特にする事もないので零の隣に座り親子のキャッチボールを見る。
「お前とキャッチボールするのがずっと夢だったんだ」
ボールを投げては受け取り、父親が口を開く。
男は父親のそんな言葉を聞いても反応を見せる事なく黙々とキャッチボールを続ける。
「お前が生まれた時からの夢だった。まさかこんな形で夢が叶うとは思ってなかったけどな」
「つまんねぇ夢だな」
「つまらなくないぞ。息子とキャッチボールなんて、父親なら誰もが思う事だ」
「親父の夢なんて知らなかった…」
「そうだな。純が成長してから、あんまり話もしなかったからな」
「……」
「でもやっと夢が叶って嬉しいよ」
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