らっく!!~番外編~



―――――――…
――――…
―…



「匡人、起きて」


私は匡人の肩を揺り動かした


誤解も解けて、少しだけじゃれて私達は寝てしまったようだ


『…あ…?』


「そろそろ帰んなきゃ。泊まるなんて言ってないの」


ここに来ること自体、誰にも言わなかったんだから


『マジで帰る気か?』


「うん」


『帰んな』


「は?」


私は首を傾げた


『今日は帰るな』


「えと…何で…?」


『……離れたくないから』


今日は何から何まで匡人らしくない


「熱でもある…?」


私は匡人の額に自分の手を当てた


うん、平熱平熱


まだ熱は出てないみたい

びしょ濡れになったくせに風邪引かないなんて丈夫な奴…って今は関係ない!!


『たまにはいいだろ?』


そう言ってベッドに逆戻りさせられる


「うん―…」


嫌じゃない


甘いセリフを吐く匡人もたまにはいい


出し抜けに餌をくれる気まぐれな飼い主に捕らえられた私はもう逃げられそうにない――…






【END】



→あとがき




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