赤い狼 壱





目覚まし時計は




「セットしてないじゃんっ!」




携帯の機能の一つであるアラームをクリックすると設定されていなくて力強く携帯を閉じる。



ありえねぇー!




「ご飯なんて食べてる時間なんてないっ!」




制服を着て顔を洗って取り敢えず髪は毛先だけといて、学校へとダッシュする。



遅刻とか最悪だ。




昨日、慣れない事がたくさんあって疲れてたから起きれなかったのかもしれない。




「だからって10時はないでしょ!10時は!」





行ってきます、と誰も居ない家に挨拶をしてから家を出て走る間、自転車が欲しいと切実に思った。




塚、真夏にこんなに走ってるという事が本当にあり得ない。本当にあり得ない。ってか暑い。




髪の生え際から汗が伝ってくる。それを気にせずに走っていると首まで伝った汗が服に吸い込まれていった。


あぁ、汗の跡が付いちゃうな。




ただでさえ暑いのに走ってもっと暑くなって息が上がる中、ぼんやりとそんな事を思う。





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