赤い狼 壱





かちんとキタら誰かれ構わず文句を言う癖がなくなればいいのに、と肩をガックリと落とす。



でも、ここでめげないのが私、稚春。


っていうか、この状況になっちゃったらめげられない!


言っちゃたからには仕方がないしっ!



自分を奮いたたせる。

頑張れ自分。




「ちょっと!離して!」




自分の応援によってなんとか勇気を取り戻した私は、掴まれた手を離そうと腕をブンブン大きく振る。



でも、その手は振りほどけずに私の腕と一緒に大きくユラユラと揺れるだけ。



くっ!


なんていう馬鹿力なのっ!?微動だにしないじゃないっ!




くそう、と捕まれた手をほどくのに躍起になる。



すると





「…いいな。お前…面白いっ。気に入った。」





ニヤリと赤髪男が妖しく笑った。




「キャア!」




その直後、視界がグラリと揺れてさっきまで見ていた景色が逆になった。




「ちょ、ちょっと!」




声を張り上げて叫ぶ。



なのに赤髪男は私をひょいっ!と荷物みたいに担ぎあげたまま、どこかに向かって歩き始めた。



何してんのよ!降ろしてよ!





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