赤い狼 壱





「そうなんだ。塚、隼人は免許持ってるの?」



「…………持ってる。」



「嘘だ。」




じゃあその無駄な間は何だったの。結構長かったけど。



黙っている隼人に嘘でしょ、ともう一度言う。


嘘、バレてますよ~。




「隼人が免許持ってないんだったら私は乗らないよ?」



「…じゃあ車。車で送る。」



「いや、車はもっと駄目でしょ。」




少し拗ねた態度をみせる隼人に素早くツッコミを入れる。



だいたい車ってまだ免許とれる歳にもなってないじゃない。何考えてるのよ。




「私、まだ死にたくない。」



「運転は俺じゃねぇ。運転手が運転すっから安心しろ。」




あからさまに嫌がる私を見て隼人が舌打ちを溢す。あらやだ恐い。


ってか運転手って何。え、何?もしかして隼人ってお坊っちゃんなわけ?




「運転手が何だって?」




空耳かもしれなかったからもう一度、確認のために尋ねる。



運転手ってさっき聞こえたと思うんだけどな。




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