桜の木の下で

said刹那

いつも聴こえていた澄んだ歌声。

わしを夢から醒めさせる歌声。

今宵は満月。

力を解放させるには絶好の日じゃな。

しかし・・・3000年前と桜はだいぶ変わったのじゃな・・。


物思いにふけっていると唄が聴こえてきた。

   桜の木下で

  夢見る者は誰じゃ

私かそなたかはたまた夢の主か

分かるものは桜乙女のみ
 

ああ・・・綺麗な歌声だな。

ふとワシは唄の主の声を見たくなりその歌声を頼りに現れてみた。

「っきゃあ!!」

一人の女が悲鳴を上げていた。

誰じゃこやつ・・・

その女は驚き倒れそうになったので、とっさに抱きかかえていた。

「ふぇ?」

面白い声を上げている女。

「なに素っ頓狂な声を上げておる。」

「え・・・貴方は誰?」

女は驚きつつも口を開いた。

瞳が桜色か・・・・
不思議な女だ・・・・

「わしか?わしは刹那じゃ。」

名を告げると女は不思議そうに

「せ・・・つな?」

と呟いていた。



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