それでも私は生きている


ライフラインが寸断されて寒い一日は坂田さんが貸してくれた毛布を頭から被って過ごした。

私も坂田さんも当たり前のように寝る事なんてできなくて…

それでも瞼を閉じて寝ようと努力をした。


瞼を閉じても嫌な記憶しか思い出す事ができなくて。

怖いとか寒いとか津波に呑まれた時はそんなの感じる事すらできなかったのに…一日経った今、それが今現実に起きているんじゃないかって位に鮮明に思い出してしまった。



ただ、「助けて」と死と言う現実味のない物と戦いながら叫んだ事…

時間の感覚すらない、冷たく濁った水で溺れてしまう恐怖と戦いながらいた事…


助けられた時の安堵感も、すべてが鮮明で…

また涙が出てきた。



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