それでも私は生きている



坂田さんに案内を頼みながらどうにか津波被害がない地区まで歩いた。

坂田さんの住むアパートは津波被害はなかったようで、一度坂田さんの部屋にお邪魔する事になった。


「ライフラインが完全に駄目だからこれしかないんだけど…」


わざわざガスボンベ式のガス台を出してくれて、温かいココアを煎れてくれた。


「ありがとうございます…」

「車無事だから行けるとこまで行こうか。私の実家が無事だったらそこで友達に連絡取れるまで居て良いからね?」

「すみません、ありがとうございます…」


私はきっと、いや…絶対に恵まれていたんだ。

清水さん、井上さん、新田さん…それに坂田さん。

良い人達に出会えた私は本当に幸せ者だ。



温かくて甘いココア、普段は飲まないけど…こんな状況だからか、それとも人が入れた物だからか…すごく美味しかった。



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