あたしの愛、幾らで買いますか?
それでも、彼の目はまだ開かれない。


「さーくーらっ
 起きてぇ?」

「チューしてくれたら起きる」


やられた。

彼は最初の一声で起きていたのだ。

ここ数日で、

‘おはようのキス’

で目覚めるのが

彼の習慣になっているらしい。


「しかたないなぁ~」


あたしは、思ってもない事を呟いて

彼の唇を奪う。

そして、彼は目を細めて微笑む。


「おはよう。
 あゆ」


この当たり前の挨拶が

こんなにも素敵な言葉に聞こえるなんて。

たぶん、一緒に居る人が朔羅だから

そう思うのだろう。




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