あたしの愛、幾らで買いますか?
「歩美?開けて良い?」


ふすまの外で母が声をかける。

あたしはバイトへ行く為、

準備をしていた。

鍵の形をしたシルバーネックレスをして

ふすまを開けた。


「何?」

「手紙。笹井くんから」


母はニコリと微笑んであたしに

それを手渡した。

あたしが実家へ戻ってきた理由を

母は聞いてこなかった。

ただ

「おかえり」

そういって迎え入れてくれたのだ。


水色の封筒には

バランスが少し崩れた文字で


【安藤歩美さま】


と書かれていた。

裏には、笹井の住所と


【笹井瑛斗より】


そう書かれていた。



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