あたしの愛、幾らで買いますか?
笹井がくれる手紙は便箋1枚と

何故か決まっていた。

あたしの部屋のチェストに

日に日に増えていく笹井からの手紙。


前に、彼に

「何で手紙なの?」

と尋ねた事があった。

彼の答えは、こうだった。


「お前が燃やさない限り、
 消えないから。
 メールだと古い順から消えるだろう?
 俺の気持ちは消えないから」


その答えが嬉しかった。

あたしは少しずつ笑顔を取り戻して

声を出して笑うようになった。

バイトはカフェと居酒屋の掛け持ち。

楽ではないけれど、

それなりに楽しかった。


笹井は受験を控えている身なのに

居酒屋のバイトが終わる頃、

迎えに来てくれるのだ。

いつも通り、自転車で。





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