あたしの愛、幾らで買いますか?
『なぁ、歩美』


さっきまで電話越しに

ふざけていた笹井は居なかった。

急に真面目な口調になる彼。

あたしの体も少し硬直した。



『俺は、これからも先
 ずっと、歩美を守るよ。
 あいつの分も。
 
 歩美、愛してるよ』


あたしは嬉しさのあまり

声を上げて泣いた。


初めてあたしの鼓膜に届く

『愛してる』の言葉が

こんなにも暖かいなんて知らなかった。


「…あたしも、
 愛してるよ」


自然と出た言葉だった。




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