星の哀歌
「このまま体がくっついちゃってさぁ、完全に一つになれればいいのにね。
あゆと一つの生き物になれるなら、俺、人間を捨てても構わないよ。
たとえグロテスクな醜い化け物になったとしても、あゆと一つになった心臓がドクドク脈打っていれば幸せだ」
裕太がアタシを抱きしめて、どれくらい経っただろう
不意に裕太の体が弛緩した

「……裕太……?」


返事がない

気を失っている

無理もなかった

血の量はかなりのもので、貧血になるのは当然だ

アタシはその隙をついて全力で裕太の部屋から逃げ出した

アタシは泣きながら美紀に電話をかけた

美紀に事情を話すと、美紀の家は近いから今からおいでって言ってくれた

美紀の家につくと、噛みつかれた唇の手当てをしてもらって、血を流すためにシャワーと服も借りた

「あゆ、怖かったでしょ。逃げて来られて本当によかった……」

美紀は涙ぐんで抱きしめてくれた
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