これは、事実
「………」
和子の声。
震えてた……。
和子…ごめん……。
謝りにいこうと思って、走りだそうとしたとき。
「……!!??」

それはきた。

激しい揺れ。
「……地震!?」
異常なまでに強い、感じたことのない揺れ。
私は咄嗟に椅子の下に逃げ込む。
体育館にいた他の何人かも慌てて椅子の下に避難する。
女子は、恐怖に泣き叫ぶ子がほとんどだった。
「……」
私はただ、椅子の下からぼうっと見ているだけ。
大好きな先輩の卒業式の会場が崩れていくその有様を。
その崩壊を、止められなかった。
「きゃあーーーッッ!!」
突然、女子の悲鳴。
体育館の屋根が崩れて落ちてきたのだ。
「……ッ」
破片が、飛び散る。
その光景を見て、私は……。
「和子ッ…先輩ッ…!」
大切な人たちを思いだした。
大丈夫なの…?
不安になる。
もしかしたら、怪我をして、血が出てて、死……。
「…やだっ…」
不吉なシーンが頭を過ぎる。
「……ぅうッ……!」
涙がこぼれた。
死を間近に感じる。
普段は意識してなかったけど、なんて恐ろしいんだろうと心から思った。
揺れてる時間。
よくわからなかったけど、ヒドく長く感じた…………。
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