恋の家庭教師

「うめぇ…」

「ありがとう♪」

「久しぶりだな、家庭の味。」

「…え?」

「…なんでもない。」

「そこまで言ったなら、最後まで言ってよ。」

蓮くんが少し遠くを見つめる。
言いにくい話だったかな…?

でも蓮くんのことなら知りたい…。



「…俺の家族は兄貴だけ。父さんと母さんは俺が小3の頃に死んだ。だから家庭の味とかって、懐かしいというか…不思議な感じなんだよねー……っておまえに語ってる俺もおかしいか。」

「…そんな過去があったんだ…。」

「今は全然気にしてないけど。」
そう言いながらも、まだ切なげな顔で遠く見てるじゃん…。

私の“寂しいから一緒にいて”って気持ち…蓮くんなら分かってくれるのかな…?
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