傍若無人


知らない大人に囲まれて
知らない男の人に
私は育てられた。


まだ小さかった私は
いつもぬくもりを求めていた。

知らない男の人は
いつも何も話さなかった。

なんだか怖くて
私はこの知らない男が大嫌いだった。


だから小さいながらさとったの。


期待しても無駄だって。
泣いても喚いても
私の隣にはママはいなかった。



幼稚園の先生も、お友だちも
みんなのママも口を揃えて言ったんだ。


「いい子にしてたら
ママが帰ってくるよって」


そう言ってみんな
ママと手を繋いで帰っていった。


みんなが帰った後で
ガランとした教室に
知らない男が迎えにきた。


みんな始めは心配もしてくれた。

でも毎日繰り返えされるそれに
みんなは私を違う目で見だした。

あの子にはママがいないんだ。って



小さい私は、
小さな心に大きな傷を刻みこんだの。

誰も信じちゃいけないって。


それから私は
泣くのをやめた。



何があっても
どんなに辛くても

誰にもなにも
何も言わなかった。

もちろん誰かに頼る事なんてなかった。

大きくなるにつれ
人前では誰よりもよく笑うようになった。

でもいつも一人で泣いてた。
誰にも気づかれないように…

幸せじゃない子の烙印を
押されたくなくて…

強がる事に必死だった。




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