嫌いなあいつは婚約者



後ろからの視線に堪えているとき、ユウくんが思い出したかのように言った。




「そーいや姉ちゃん、なんで上着着てるの?」


「え?あぁこれ?日除けのために。一応、父さんの都合でドレスとか着たりするから肌は大事にしとかないとね」



「へぇー」




あまり分からなかったのか、あいまいな返事をして、ウミちゃんと騒ぎ出すユウくん。



その姿を見ていると、耳元に暖かい何かを感じた。







「ふーん。体形隠してる訳じゃないんだ。」


「んなっ!!」




失礼なことを言われて、怒る以前に、松田の顔が真横にあって……

顔まで真っ赤になる私に「図星?」といたずらを成功した子供のような顔をすると、ユウくんたちの方に歩いて行った。








「………図星じゃないっつの」











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