虹が見えたら
「ああ、それは思う。
もともとさ~あいつが料理うまくなった原因は僕のせいだから。
僕は学生のとき、すごいデブだったんだ。
それでダイエットすることにしたんだけど、今度は栄養失調になってさ。
なかなか自分で栄養をコントロールするのって大変なんだよね」
「へぇ~そんな前から伊織さんとお付き合いが?」
「はぁ?付き合いというか、あいつはうちの執事だったから。
昔はお金持ちって言われたときもあったんだ。
伊織の親父も執事でさぁ・・・けど、突然の外国からの不景気でね、うちの事業は行き詰ってしまって・・・それでなるみちゃんのお父さんにおすがりしたというわけ。
会社がもちなおして、僕も大学へ進むことができてほんとによかったんだけど、執事を雇うほど余裕なくて。
それからは伊織は友人として接してくれた。
僕が困ったら必ず助けてくれる友人としてね。」
「伊織さんって優しいんですね。」
「ああ、口数は少なめだし、怒ってるみたいに誤解されがちだけど、いいやつだよ。」
2人は食事を済ませると、虹色のみんなにお菓子を買った。
そして、真樹の車へともどる途中、なるみを呼ぶ声がした。
「やまだぁーーーー!おまえも買いものか?」
「長野せんせぇ・・・・・」
「はぁ、イケメン教生くん登場だね。・・・・・長野先生、いつもなるみがお世話になっています。」
「あなたは?」
「なるみの保護者で学生寮虹色の管理人をしている須賀浦です。」
「お身内の方ですね。いやぁかっこいいなぁ。
山田くんのご両親は亡くなられたとお聞きしましたので、どういった人が生活面をみておられるのかとは思ってたんですけど。
虹色の管理人さんといえば、ああ~女生徒の間で有名ですよ。
その方が山田くんの保護者でしたか。
先日は帰りが遅くなってしまって申し訳ありませんでした。
初めての補習授業をひとりで任せてもらえたのがうれしくて、張り切り過ぎてしまいました。」
「あの、長野先生も買いものですか?」
「うん、大したもんじゃないけど遠足用の服とかリュックとかね。
遠足の前日は補習は休みだから、しっかり体を休めておくんだぞ。
じゃあな。 んじゃ、失礼します。」