虹が見えたら
遠足にて

「体育会系なのかな。僕と違って男らしいね。」


「もしかして・・・真樹さん、長野先生みたいな人タイプだったり?」


「ないない!そんなわけない。」


「ですよね。真樹さんには伊織さんという素敵なナイトがいますもんね。」


「もう・・・」


寮にもどると、寮長が真樹のところへ走ってきた。


「オーナー大変ですっ!檜山さんが出て行っちゃいました。」


「どうした!何があった?」


「それが・・・」


寮長の由起子の話では、203号室の檜山里奈が同じクラスの男子の子どもを身ごもってしまったので、退学になる前に自主的に寮を出て行ったということだった。



「くっ、いつも節度ある生活をって夕飯のときに言ってたのに・・・」


「ねぇ、真樹さん檜山先輩は3年生だから何とか卒業できないの?」


「それを決めるのは校長先生なんだよ。
学生寮はね、寮の中での風紀は監視できるけど、外でのことまでは責任もてないんだ。
とくにうちのような、部屋だけを提供する民間の寮はね。

学校の決定に従って、里奈ちゃんの荷物を送ってあげたり処分したりするくらいしかできないんだ。

寮長、みんなに夕飯が終わってもすぐに部屋にもどらないように伝えてください。
あ、これおみやげのお菓子。」


「はい、いつもありがとうございます。」



由起子のあとをなるみがついていこうとすると、後ろから服をひっぱられた。

「きゃっ・・・真樹さん何ですか?」


「なるみは僕に隠れて男の人と関係はもたないでね。
嘘つかなきゃならないことは、しないと約束して。」



「あ、私はそんな人ぜんぜんいませんしぃ。
真樹さんにそんなに悲しそうな顔させたりしませんから。」
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