虹が見えたら
「あのねぇ。あれだけ愛してるのフェロモン出しまくってるのに気がつかないおまえの方がバカだって。
ずっと前からなるみが好きなクセにひどい過去があったら不幸にしちゃうんじゃないかとか、浮気性だと思われてるんじゃないかとか、なるみの自由を奪う発言したら嫌われてしまうんじゃないかとか。
なるみが自分から好きになった男にはけんかを売らないようにしないと、なんてもう毎日なるみの連呼でまいったのなんのって。
砂糖菓子みたいな顔していっしょに過ごせるって喜ぶんだぜ。
俺は、あの男にずっと仕えていたいから本家を出て来た。
ほんとにいいやつなんだ。
まぁ、抱かれるのはおまえだからなぁ・・・過去を引きずった体が怖いなら、はっきり嫌だと言えよな。
きっと、笑って去ってくれるよ。」
「お兄ちゃん!そんなこと言わないでよ。
私・・・私は好きなんて今初めてきいたんだから!
愛してるなんて初めてなんだから。」
真樹は夕方になって管理人室にもどってきた。
出て行ったときとは別人になって。(いつも通りともいえるが)
伊織からすべてをきいたなるみは、わざと真樹の前でせまっていった。
「なるみちゃん?なんかすご~く近いです。」
「どうしたら裏側が出てくるの?」
「だから、もうその話は・・・突っ込まないってことで。」
「嫌いなの?私。」
「あ・・・わざとだね。ひどいなぁ。
好きなの知ってるくせに。」
「じゃ、じらさないで。」
「ダメ。僕は過去の反省とお互いの親に誓って、きちんとしておきたい。
そう思って家族になろうって言ったんだ。
結局は僕自身が弱くてこのザマだけど。
だから・・・わかってください。」
「は・・・はい。」