春夏秋冬物語

そこで調子に乗ったオレは、あることを訊いてみた。

「雪夜さんは、冬好き?」

もう敬語とか知らね。
突然の質問に、雪夜さんは迷うことなく即答した。

「好きよ」
「どうして?」
「んー、寒い、からかな」
「暑がりなの?」
「ううん。寒いと、小さな暖かさが何倍にも感じられるでしょ? だから好きなの」

うん、難しい。
分かんないけど、とりあえず返事。

「へえー。オレは嫌いだよ」
「どうして?」
「だって寒いしすぐ暗くなるから遊ぶ時間減るし、……からかわれるもん」
「誰かにからかわれても、自分が好きならそれでいいと思うけどね。でも嫌いなのね……」

雪夜さんが悲しそうな顔をしたから、慌てて付け加えた。

「で、でも雪は好きだよ!」
「そうなの?」
「うん! 雪合戦とかスキーとか楽しいもん!」
「そう、なんだ……」

心なしか雪夜さんの表情に陰が射したように見えた。
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